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親族から受けた「生活費」または「教育費」に係る贈与税

1制度の概要

 父母・祖父母など三親等内の親族が、子や孫などに一人暮らしの「生活費」や学費などの「教育費」を援助する場合には、贈与税が課されることはありません。しかし、ここでいう「生活費」や「教育費」は、「通常必要と認められるもの」でなければなりません。

2通常必要と認められるもの

 「通常必要と認められるもの」とは、受贈者と贈与者の双方における財務状況を考慮したうえで、社会通念上適正と認められるものとされています。通常生活していくうえで不必要であると思われる高額なものや、受贈者に十分な資金があるにもかかわらず家賃等の援助がある場合には、贈与税の課税対象となる場合があります。また、その支給が生活費、教育費への用途として明確であることが必要となります。

3事例

(1)教育費の振込

  子の口座に入学金や授業料の金額をそのまま振り込んだ場合には、その用途が明確ではありません。大学などの教育機関に直接納入するなど、用途を明確にすることが必要となります。

(2)生活費の振込

  上京している子に対して生活費月15万円を贈与した場合、一般的に適正な金額と考えられます。月100万円の生活費を贈与した場合、日常生活に必要とはいえない金額については、贈与税が課税される可能性があります。

4その他特例を用いた贈与

直系尊属から贈与を受けた場合、以下の特例を用いることで、贈与税が課されません。

以上

令和3年度改正 住宅借入金等特別控除

1制度の概要

 住宅借入金等特別控除とは、金融機関等から住宅ローンを利用して住宅を新築・購入・増改築等(以下「取得等」という。)をした場合に住宅ローンの年末残高若しくは借入限度額のいずれか少ない金額の1%を所得税から10年間控除することができる制度です。
 また令和元年度改正、新型コロナウイルスに係る特例及び今回の令和3年度改正により、下の図に示した要件にそれぞれ該当する場合には、控除期間が3年間延長され、最長13年間適用控除できることとなりました。

2令和3年度改正の概要

 消費税率10%による増税や新型コロナウイルスによる影響に伴い、控除期間を13年に延長する措置が取られていましたが、令和3年度改正では、住宅の取得等が特別特定取得に該当し、下記⑴及び⑵の要件を満たすときは、控除期間13年の特例措置を受けることができることとなりました。
 また、適用要件の1つである床面積についても50㎡以上から40㎡以上に緩和され、単身者向けのマンションや、狭い土地を活用した狭小住宅を取得した場合についても住宅借入金等特別控除の適用が受けられるようになりました。

⑴ 床面積要件と所得要件

⑵ 契約時期と居住の用に供した日についての要件

(注)住宅借入金等特別控除については、細かい要件がございますので、実際の適用にあたっては税理士などに詳細確認の上ご対応下さい。

3用語の意義

 ⑴借入限度額
  通常の住宅の場合は4,000万円、認定長期優良住宅等の場合は5,000万円となります。

 ⑵特別特定取得
  その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等をいいます。

 ⑶合計所得金額
  各種所得の金額の合計額(損益通算の適用がある場合にはその適用後の金額)であり、純損失及び雑損失等の繰越控除の適用がある場合には控除する前の金額をいいます。

以上

適格請求書等保存方式(インボイス制度)

1概要

 平成29年4月の税制改正により消費税の軽減税率が始まりました。それと並行して、軽減税率制度の円滑な運用及び適正な課税の確保の観点から、適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度が導入されることとなりました。
 適格請求書(いわゆるインボイス)とは、「売り手が、買い手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝える手段」として、一定の事項が記載された請求書などの書類を指します。
 今後、買い手側が仕入税額控除の適用を受けるためには、適格請求書を保存することが義務付けられます。また、売り手も相手方の求めに応じて適格請求書を交付する義務が生じます。適用開始日は、令和5年10月1日となっております。

2適格請求書発行事業者登録制度

 適格請求書を交付するためには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受ける必要があります。免税事業者である場合、登録申請書の提出をすることができないため、課税事業者を選択した上で、登録申請書を提出しなければなりません。なお、適格請求書を発行する必要がない課税事業者は、あえて登録する必要はありません。
 登録申請書は、令和3年10月1日から提出可能です。適用が始まる令和5年10月1日から適用を受ける場合には、原則として令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。

3適格請求書の記載事項・記載の注意点

 適格請求書の様式は、法令等で定められておりません。下記の必要事項が記載された書類であれば、手書きでも適格請求書に該当するものとされています。また、不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等に係る取引については、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することができます。
 適格請求書には、適格発行事業者の登録番号が付され、消費税額が記されることとなります。今後は登録番号を確認したうえで、適格請求書に記載されている消費税額が仕入税額控除の対象となります。

※国税庁HPより引用

4売り手・買い手の留意点

(1)売り
 適格請求書発行事業者には、原則、以下の義務が課されます。
・適格請求書、適格返還請求書、修正した適格請求書の交付
・交付した適格請求書などの写しの保存

(2)買い手
・一定の事項を記載した帳簿及び請求書等の保存が、仕入税額控除の対象となります。免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除の適用を受けることができません。
・簡易課税制度を選択している場合において、適格請求書などの請求書の保存は、仕入税額控除の要件ではありません。

5免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置

 制度導入後6年間は、免税事業者等からの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられています。

6今後の対応

 インボイス制度の導入により、課税事業者を選択した場合には、消費税の納税義務が発生してしまうため負担となる可能性があります。しかし、免税事業者を選択した場合、課税事業者は取引で生じた消費税額を控除することができないため、取引自体が中止となるケースも考えられます。
 免税事業者の場合には、課税事業者になるメリットとデメリットを考えたうえで選択する必要があります。
 課税事業者の場合には、登録申請書を期限内に提出するとともに、仕入先・取引先等が課税事業者であるか否か把握する必要があります。

以上

居住用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除制度の改正

1改正の趣旨

 我が国の消費税法では、非課税売上に対応する仕入は、原則として仕入税額控除の対象となりません。そのため、本来居住用賃貸建物(アパート、マンションなど)の取得に係る消費税について仕入税額控除は認められません。しかし、改正前の消費税法では課税売上割合を意図的に上げることで、居住用賃貸建物の取得に係る消費税について仕入税額控除の対象とし還付を受けるケースが散見されました。
そこで、仕入税額控除制度の適正化を図るという観点から、今回の改正が行われました。

2改正内容

  1. (1) 内容
    事業者が、国内において行う居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないこととされました。

    (2) 適用時期
    令和2年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額について適用されます。
    ただし、令和2年3月31日までに締結した契約に基づき、令和2年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等については適用されません(経過措置)。

    (3) 用語の意義
    ①居住用賃貸建物
     住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(※1)以外の建物であって高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産(※2)に該当するもの。
    ②住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(上記※1)
     建物の構造や設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかであるもの。例えば、その全てが店舗である建物など建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物が該当します。
    ③高額特定資産(上記※2)
     棚卸資産又は調整対象固定資産のうち、一の取引単位の課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が 1,000 万円以上のもの。
    ④住宅の貸付
    ・貸付に係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの
    ・契約において用途が明らかにされていない場合に貸付等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかなもの

【参考図解】

【補足】
・建物の一部が店舗用になっている居住用賃貸建物についての判断
建物の構造及び設備その他の状況により居住用賃貸部分とそれ以外(例えば商業用)とに合理的に区分しているときは、居住用賃貸部分についてのみ仕入税額控除が制限され、それ以外の部分についてはこれまでと同様、仕入税額控除の対象となります。

以上

令和3年度税制改正大綱 所得拡大促進税制

1所得拡大促進税制とは

 青色申告者である法人又は個人が、前年度よりも給与等の支給額を増加させて、かつ、一定の要件を満たした場合には、その支給増加額のうち一定の方法により計算した金額を法人税又は所得税から控除することができる制度です。

2制度の概要

 大企業については現行制度の適用要件のうち継続雇用者給与等支給額が前年度比3%以上増加という要件を、新規雇用者給与等支給額が前年度比2%以上増加という要件に変更した上で適用期間が2年間延長され、中小企業等については現行制度の適用要件のうち継続雇用者給与等支給額が前年度比1.5%以上増加という要件を、給与等支給総額が前年度比1.5%以上増加という要件に変更した上で適用期間が2年間延長されました。
 現行制度では既存の従業員の賃上げ、ベースアップを重視した内容になっていましたが、今回の改正により新規従業員の雇用拡大を重視した内容に変更されることとなります。
 なお、適用期間は令和3年4月1日開始事業年度から開始されます。

3適用要件と取扱い

(1)大企業向け

(2)中小企業向け

4留意点

(1)控除限度額は法人税額の20%相当額までとします。
(2)設立事業年度は対象外となります。
(3)上記の適用要件を判定する場合には、雇用調整助成金及びこれに類するものの額を控除しないこととします。
(4)中小企業については、大企業向けの規定の適用も可能であるため、両規定の適用可否を算定する必要があります。

5用語の意義

(1)新規雇用者給与等支給額
国内の事業所において新たに雇用した雇用保険法の一般被保険者に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額
(2)教育訓練費
国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用をいいます。
(3)給与等支給総額
適用年度における国内雇用者に対する給与等の総額をいい、継続雇用者に限定されません。

配偶者居住権

1制度の概要

 配偶者居住権とは、被相続人の死亡後、その被相続人の配偶者(以下、「配偶者」とする。)が、その被相続人が所有する建物(配偶者と共有している場合も含む。)に相続開始時、居住していた場合に、無償で住むことができる権利を指します。令和2年4月1日以後開始する相続により取得する財産に適用されます。
 民法上、建物に対して配偶者居住権の設定登記を行わなければなりません。また、設定の登記を備えることで第三者への対抗要件が準用されます。
 配偶者居住権の存続期間は、原則として「配偶者」の終身の間ですが、遺産分割協議書、審判、遺言により権利の存続期間を設定することも可能です。そして、「配偶者」の死亡や存続期間の満了等によって配偶者居住権は消滅します。
 配偶者居住権は、財産的価値を有するものとされており、税務申告の際に財産評価を行い相続財産に含める必要があります。また、当該権利は、あくまで建物のみを利用する権利となりますが、その設定に伴って建物敷地利用権も取得することとなり、同様に相続財産に含めます。

2消滅時における課税

(1)「配偶者」の死亡や、存続期間の満了、建物滅失による配偶者居住権の消滅した場合には、贈与税の課税関係は生じません。

(2)存続期間の中途で合意解除や、放棄、用法違反に係る消滅請求による配偶者居住権の消滅は、土地建物の所有者による利用制限が解かれ、自由に使用・収益することができます。したがって、所有者は、配偶者居住権及び敷地利用権の経済的価値を「配偶者」から取得したものと考えられ、課税の対象となります。
 それらの消滅に対して所有者から「配偶者」へ消滅の対価として適正額の支払いがない場合には、所有者に対して贈与税が課税されることとなります(相通達9-13の2)。また、適正額を支払った場合には、「配偶者」が配偶者居住権を譲渡(換価)したものと考えられ、「配偶者」に対して譲渡所得が課されることとなります。

3設定が想定されるケース

 父が死亡し、相続人が母と子の2人である場合、父が所有していた自宅は母が居住し相続することが多いと思われます。一般的に、母が受け取る遺産総額のうち自宅の占める割合が高い場合には、法定相続分を基準として遺産分割を行う際、母は預貯金など他の遺産を受け取る金額が少なくなってしまいます。
 このようなケースにおいて配偶者居住権を設定すると、自宅の評価額が「所有権部分」と「配偶者居住権」に分かれるため、母はより多くの他の遺産を取得することができます。

4税務上の取扱い

(1)節税対策
 配偶者居住権を設定した場合には、母が配偶者居住権部分を、子が所有権部分を相続することになります。母は、①配偶者に対する相続税額の軽減(相法19の2)の適用、②配偶者居住権の設定に伴い、配偶者が取得する敷地利用権については、「土地の上に存する権利」に該当し、小規模宅地等の評価減の特例(措置法69の4)の適用があるため、相続税負担を大幅に軽減することができます。子は、母が死亡した際には配偶者居住権部分が消滅し、二次相続において当該部分を相続することはないため、設定しない場合よりも節税につながります。

(2)自宅を売却する予定がある場合
 配偶者居住権の設定後、自宅の売却による消滅は、原則として贈与税または譲渡所得が課せられることとなります。そのため、相続後に自宅を売却する予定がある場合には、配偶者居住権の存続期間を設定するなどの対応策を検討する必要があります。

5まとめ

 これまでは、相続発生により配偶者は、自宅を相続するか否かの選択しかできませんでした。「配偶者居住権」の創設により新しい相続財産の分割方法を検討することができるようになりました。
 配偶者居住権は、小規模宅地等の特例などを組み合わせることで高い節税効果がある一方、贈与税や所得税が課税されるケースがあるなどのデメリットも存在しております。配偶者居住権の設定の際には、一次相続のみならず、相続後の配偶者のライフプランや二次相続も考慮して検討する必要があります。

以上

中小企業者等の災害に対する事前対策のための設備投資税制

1制度の概要

 平成31年税制改正により、青色申告法人である中小企業者のうち一定の認定を受けた法人が、災害への事前対策を強化するための設備投資を取得等して事業の用に供した場合には、その取得価額の20%の特別償却を行うことができます。
 適用期間は令和元年7月16日から令和3年3月31日となります。
 

2適用要件

 青色申告書を提出する中小企業者等が対象となります。
 事前に、事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画(https://www.chubu.meti.go.jp/c72kigyou/bcp/index.html)に、①取組内容、②実施期間、③取得する防災・減災設備などを記載します。当該計画書を作成後、経済産業省に申請、認定を受け、記載した資産を取得します。そして、対象設備の償却限度額の計算明細書を添付して税務申告を行います。

3対象資産

 対象となる資産は、強化計画の目標の達成及び内容の実現に資するものであることにつき、経済産業大臣の確認を受けたものとなります。

以上

平成30年度税制改正 給与等の引上げ・設備投資促進税制

1制度の概要

平成30年度税制改正により、所得拡大促進税制は次のとおり適用要件などが改組され、給与等の引上げ及び設備投資促進税制として新しい税制となりました。適用期間は平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度が対象です。
なお、設立事業年度においては、従来適用がありましたが、今後は適用がありません。

2青色申告法人である大法人

(1)適用要件

⇒ 基準年度からの増加要件ではなく、前期比の給与水準の増加要件となりました。
⇒ 継続雇用者の範囲見直し
当期と前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者で一定の者と定義されており、改正前継続雇用者の対象であった「前期に中途入社した者」や「当期に退職した者」は除かれることとなります。これにより継続雇用者の把握及びカウントは改正前より容易になります。

⇒ 国内設備投資額とは、当期において取得等をした国内資産で当期末において
有するものの取得価額の合計額をいいます。取得等とは、取得又は製作若しくは建設をいい、合併・分割などによる取得は除かれています。また、オペレーティング・リース取引以外のリース取引に係る契約により取得した国内資産の取得価額を含むことになると考えられています。

(2)税額控除額(いずれも法人税額の20%を限度)

⇒ 税額控除額は基準年度からの増加額ではなく、前期からの増加額を基に求めます。

⇒ 教育訓練費とは、法人がその国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用で一定のものをいいます。比較教育訓練費の額とは、前期及び前々期の損金算入された教育訓練費の額の平均値をいいます。中小企業者等と違い、過去2年間の平均値を用いることに注意が必要となります。

⇒ 比較教育訓練費の額が0円の場合、当期において1円以上の教育訓練費の支出があれば、この要件を満たします。当期における教育訓練費の支出が0円の場合にはこの要件を満たさないこととなります。

3青色申告法人である中小企業者等

(1)適用要件

(2)税額控除額(いずれも法人税額の20%を限度)

⇒ 中小企業比較教育訓練費の額とは、前期の損金算入された教育訓練費の額をいいます。大法人と違い、過去2年間の平均値は用いません。

⇒ 中小企業比較教育訓練費の額が0円の場合、当期において1円以上の教育訓練費の支出があれば、この要件を満たします。当期における教育訓練費の支出が0円の場合にはこの要件を満たさないこととなります。

⇒ 中小企業等経営強化法により経営力向上計画につき主務大臣の認定を受けた中小企業者等であって、その認定を受けた経営力向上計画に記載された経営力向上が確実に行われていれば、この要件を満たすこととなります。その証明として、経営力向上計画の写し及びその認定書の写しや一定の経済産業大臣に報告した内容が確認できる書類を確定申告書等に添付することによりその証明を行います。

以上