令和3年度改正 住宅借入金等特別控除

1制度の概要

 住宅借入金等特別控除とは、金融機関等から住宅ローンを利用して住宅を新築・購入・増改築等(以下「取得等」という。)をした場合に住宅ローンの年末残高若しくは借入限度額のいずれか少ない金額の1%を所得税から10年間控除することができる制度です。
 また令和元年度改正、新型コロナウイルスに係る特例及び今回の令和3年度改正により、下の図に示した要件にそれぞれ該当する場合には、控除期間が3年間延長され、最長13年間適用控除できることとなりました。

2令和3年度改正の概要

 消費税率10%による増税や新型コロナウイルスによる影響に伴い、控除期間を13年に延長する措置が取られていましたが、令和3年度改正では、住宅の取得等が特別特定取得に該当し、下記⑴及び⑵の要件を満たすときは、控除期間13年の特例措置を受けることができることとなりました。
 また、適用要件の1つである床面積についても50㎡以上から40㎡以上に緩和され、単身者向けのマンションや、狭い土地を活用した狭小住宅を取得した場合についても住宅借入金等特別控除の適用が受けられるようになりました。

⑴ 床面積要件と所得要件

⑵ 契約時期と居住の用に供した日についての要件

(注)住宅借入金等特別控除については、細かい要件がございますので、実際の適用にあたっては税理士などに詳細確認の上ご対応下さい。

3用語の意義

 ⑴借入限度額
  通常の住宅の場合は4,000万円、認定長期優良住宅等の場合は5,000万円となります。

 ⑵特別特定取得
  その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等をいいます。

 ⑶合計所得金額
  各種所得の金額の合計額(損益通算の適用がある場合にはその適用後の金額)であり、純損失及び雑損失等の繰越控除の適用がある場合には控除する前の金額をいいます。

以上

適格請求書等保存方式(インボイス制度)

1概要

 平成29年4月の税制改正により消費税の軽減税率が始まりました。それと並行して、軽減税率制度の円滑な運用及び適正な課税の確保の観点から、適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度が導入されることとなりました。
 適格請求書(いわゆるインボイス)とは、「売り手が、買い手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝える手段」として、一定の事項が記載された請求書などの書類を指します。
 今後、買い手側が仕入税額控除の適用を受けるためには、適格請求書を保存することが義務付けられます。また、売り手も相手方の求めに応じて適格請求書を交付する義務が生じます。適用開始日は、令和5年10月1日となっております。

2適格請求書発行事業者登録制度

 適格請求書を交付するためには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受ける必要があります。免税事業者である場合、登録申請書の提出をすることができないため、課税事業者を選択した上で、登録申請書を提出しなければなりません。なお、適格請求書を発行する必要がない課税事業者は、あえて登録する必要はありません。
 登録申請書は、令和3年10月1日から提出可能です。適用が始まる令和5年10月1日から適用を受ける場合には、原則として令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。

3適格請求書の記載事項・記載の注意点

 適格請求書の様式は、法令等で定められておりません。下記の必要事項が記載された書類であれば、手書きでも適格請求書に該当するものとされています。また、不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等に係る取引については、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することができます。
 適格請求書には、適格発行事業者の登録番号が付され、消費税額が記されることとなります。今後は登録番号を確認したうえで、適格請求書に記載されている消費税額が仕入税額控除の対象となります。

※国税庁HPより引用

4売り手・買い手の留意点

(1)売り
 適格請求書発行事業者には、原則、以下の義務が課されます。
・適格請求書、適格返還請求書、修正した適格請求書の交付
・交付した適格請求書などの写しの保存

(2)買い手
・一定の事項を記載した帳簿及び請求書等の保存が、仕入税額控除の対象となります。免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除の適用を受けることができません。
・簡易課税制度を選択している場合において、適格請求書などの請求書の保存は、仕入税額控除の要件ではありません。

5免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置

 制度導入後6年間は、免税事業者等からの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられています。

6今後の対応

 インボイス制度の導入により、課税事業者を選択した場合には、消費税の納税義務が発生してしまうため負担となる可能性があります。しかし、免税事業者を選択した場合、課税事業者は取引で生じた消費税額を控除することができないため、取引自体が中止となるケースも考えられます。
 免税事業者の場合には、課税事業者になるメリットとデメリットを考えたうえで選択する必要があります。
 課税事業者の場合には、登録申請書を期限内に提出するとともに、仕入先・取引先等が課税事業者であるか否か把握する必要があります。

以上