私は学院短大の保育科に入った時から一応専攻科に進むという視野を広げて普段から勉強していたので、4年一貫プログラム(※専攻科を目指す学生を集めて実施する特別プログラム)を取りながら、専攻科の様子も知りながらっていう学生生活を送っていました。2年間で卒業はできるんですけど、その2年間だけの学びで自分が社会人になって実際に現場で働くって考えたときに、不安がすごくあって。
2年間でもたくさん実習もあるし、子どもたちと関わる機会も多くて自信もつくんですけど、さらにあと2年間あれば、もっと現場のことも知れて、子どもの様子や保育者と子どもの関わり方とかも実際に見る機会も増えるので、保育士になるのにもっと自信をつけられるかなと思って、専攻科を選びました。ぼくも学部が終わって大学院に2年間行ったので、同期は小学校や中高の教員だったりするので、そういう同じ思いを持ったけど、その大学院に行った2年間がすごい財産になった。現場に入っちゃうと忙しくて、たとえば子どもとのかかわり方とか、先生の授業づくりとか、理論と実践を重ねながら見る機会が薄れちゃうんだけど、たぶんみんなにとってもインターンに行ったりして学んだことと、実際に現場研修とかに行って子どもたちと関わることが学生時代にできるというのがものすごく貴重です。
ストレートで行ったひとたちよりも大きな財産を持っているから、たぶんこの先、5年後10年後とかに自分に自信を持てると感じている。私は、2年で卒業した同期が現場で働いていることに関しては、あまり不安はなくて。自分の人生だからまわりに左右されずにっていう気持ちがあります。小学校教員になりたいというのが固まっていたので、2年で卒業して現場に出れるかって聞かれたときに、やっぱり出れないなって思って。
まわりが就職して社会に出てがんばっているのはすごく誇らしいことだし、自分も2年後、同期みたいに頑張っていけるようになりたいなっていう思いを持ちつつ、自分は専攻科に行って、専門的な知識をつけて現場研修で技術も学んで、いろんな先生に出会うことができると思う。そういう先生から学んでから現場に出たいので、不安というより、あと2年も学べるんだから楽しめばいいじゃん、っていう思いが強かったです。研究授業とか日々の生活の中で、子どもと多く接することを大事にしているんですけど、そう意識しはじめたきっかけがあります。 系列の小学校に初めて2週間実習に行ったときに、担当してくださった先生が、授業をするよりも子どもと遊ぶことを大事にしたいと言っていたことが思い出に残っています。授業で子どもに教えることは大事だけど、それ以外に子どもたちと一緒にいる中で子どもと関わって一緒に遊んで楽しんでという時間は、教師が一日中一緒にいるから持てるものじゃないかと思ったので、そういうことを大事にしながら、2週間の実習や1年間の現場研修をおこなっていたら、最後に子どもたちに先生に来年ぼくたちの担任になってほしいという言葉をもらえました。
先生に出会えてよかったし、これから立派な先生になっていつか僕たちにまた会ってくれるのを楽しみにしていると言われたときに、実際働きにでて担任を持ったときに、毎回そういうことを言ってもらえるように頑張っていきたいなって思って。子どもに寄り添っていくことを大事にしていきたいな思うようになりました。本科のときの2年生のときに、幼稚園の3週間実習で年中さんを担当させてもらいました。部分実習と責任実習が分かれていて、自分が考える活動ですごく悩んで、先生とやりとりして園長先生に聞いたり、家でもシミュレーションを重ねました。私はやってくなかで試行錯誤しながらちょっとミスったなと思う部分があったのですが、子どもたちは活動を終えたあとに、すごく心からの楽しそうな笑顔を見せてくれて。私のやった活動を楽しいと思ってもらえるというやりがいを感じられました。
そのときはよかったという気持ちだったんですけど、現場に立つ先生の目線は深いところまですごく見ていて、もっとこうしておけばよかった、子どもたちがこういうときはこうしたほうがよかったねとか、いろんなアドバイスをいただくなかで、くやしさからそのときは涙が出てしまって。担当してくださった先生も、「長田先生がいつも子どもたちに積極的にかかわったり、子どもたちのために何かしようと思っている姿は、私にはすごく伝わっているよ」と言ってくれて。先生のその言葉で、一瞬折れかかった心が戻されました。私が専攻科の授業でいちばん役に立ったともうのは、前期のときに1年間通年であった「実践研究」という授業です。実際の小学校の校長先生や幼稚園の園長先生にご協力をいただいて、大人数を相手に大きい活動を考えたり、郊外活動を自分たちで計画して子どもたちを連れていって活動するという授業です。現場研修や実習は先生たちについていく補佐としての役割だったので、より現場に近い活動ができたのが大きいです。
とくに、大人数の子どもを相手にするということは、いろんな事故とか怪我の心配もあるし、郊外に連れていくというのは周囲の人たちや地域の人たちもいるから安全面も気を付けていかなければいけないというのを、計画から実践の中で身にしみて感じました。実践研究で24人専攻科のみんなで計画してできたことが、4月に現場に出始めたときに活かせることだなと思っています。安全性に気を付けることだったり、子どもたちをその活動のなかでどんなことを学んでもらって、どういうところをひとりひとり評価していきたいのかという視点も養われていると思うので、それが現場でどれだけ発揮できるのか楽しみになりつつ、勉強になったなと思っています。私は1年生の時に1年間週一で行われたインターンです。私は附属の幼稚園に1年間インターンとして入らせていただいて、本科の時みたいに自分が実習生という立場で現場に2、3週間入るのと違って、保育士の免許を持ったひとという立場でインターンとして入らせてもらいます。たとえばバスに乗って子どもの命を預かりながら登園・降園をともにしたり、毎月子どもたちが楽しめるコーナー保育(※コーナー保育の説明文入る)というのを自分たちで考えて遊びの場を提供したりとか、普段の実習ではできないようなことを1年間行わせていただきました。
1年間おこなうので、逃げ出したくなることや思い通りにいかないことも多かったので、つらかったこともありますが、子どもたちが「はづきせんせい」と寄ってきてくれて、それだけで心が救われました。普段コーナー保育は年齢に応じたものをすすめているので、年少さんを受け持っていた私は、はさみを使ってできる範囲の工作を一緒にやってみるといったことを毎月提案して。子どもたちが楽しんでいる姿を見て、コーナー保育での遊びが自分のひとつの材料になったなって。あと、何よりもみなさんの成長がうれしかったのは、このあいだの「やまさんプロジェクト」セミナーのときに、僕の実践と運動に特化した幼稚園の比較のVを見せて、僕が伏線をはっておいて、自分の実践が、子どもたち主体でみんながひとりひとり輝けるような内発的に動機づけられた実線が大事という話をしたなかで、バディのところは楽しいかもしれないけど、ある意味外発的に子どもたちへの外からの圧がかかっているような実践だったので、それを見せたときに、専攻科の学生のみなさんは、自分の体育科教育法とか運動遊びのことで伝えてきたことをちゃんと自分の考えとして落として、その子どものことを想像しながら考えて、学習感想だけではなく、さらにZoomのチャット機能にみんな感想を書き込んでくるんですよ。そこがすごい成長しているなと感じました。
現場目線で見られているのはうれしかったし、セミナーに来ていた園長先生たちともあとで残って話していたんですけど、みなさんすごいねという話をされていました。ちゃんと学んだことを現場にでているから子どもたち目線で考えてられている、その視野が広がってきているというのが成長しているすがたを見るのはうれしい。授業をしていて自分も幸せな気分です。対談日:2022年10月25日(火)